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虐待…キラリ君の場合

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キラリ君の承諾を得てブログを打っています。

キラリ君のカウンセリングは、数年前のことでした。

彼は、タトゥーの彫師でした。自分の小さな店を構えていました。

私が、キラリ君のご相談を受けたのは彼が刑務所に入る数日前のことでした。

タトゥーの見本が部屋中に飾ってありました。

その光景が異様にも見えましたが、

キラリ君の綺麗な目を見た瞬間、本当は真面目な青年だと感じました。

キラリ君は私に幼少時代から少年時代のことを静かに語り始めました。

DVを繰り返す父親は母に暴力を振るうだけではなく小さなキラリ君、兄にも毎日…暴力を振るっていたと言います。

キラリ君の母は、夫の暴力に怯え子ども達を守ることさえできなくなっていたようです。

家で安心して寝ることもできずにキラリ君が安心して過ごせるのは小学校の椅子に座っている時だけです。

そのうち、兄もキラリ君に暴力を振るうようになり自分の兄からも虐待を受けました。

思春期になったキラリ君は、居場所を求めて家出をします。

悪い仲間とバイクを飛ばしている時が自分を取り戻す時間でした。

やがて、仲間同士で内輪揉めをして喧嘩で明け暮れる毎日が続きます。

自分になかで封印をしていた牙が仲間に向けて爆発します。

この時、キラリ君は傷害事件で少年院に入ります。

少年院から出てからも喧嘩を繰り返す荒れた生活のなかにいました。

20代になったキラリ君は、ある先輩から彫師のノウハウを学びます。※現在、医師免許を持った医師しか認められません。

もともと繊細な感性を持ったキラリ君は見事なタトゥーを描くようになっていました。

それでも昔の深い傷がキリキリ痛む毎日でした。

父親の虐待で傷ついた自分が誰かを打ちのめすことはナンセンスだと自分に言い聞かせます。

少しづつ穏やかな日を送るうちに結婚をしたいと思う大切な彼女ができます。

キラリ君が憧れていた穏やかな家庭生活を送りたいと心から願っていました。

やがて、彼女のお腹に小さな命が宿りました。

キラリ君の心は喜びに満ちます。

そんなある日、キラリ君は妊娠中の彼女の浮気を疑い激しい口論をします。

こともあろうに…一番大切な彼女を殴り怪我をさせお腹の胎児も失いました。

キラリ君は私の前で嘆き泣き続けました。

二度目の障害事件で刑務所行きです。

「一番、大切にしたい命まで自分の手で奪ってしまう自分は一体、何者なんだ!親父を呪っていたけど

自分は、親父より最低な人間だ!」

私は陳腐な言葉掛けをする気になりませんでした。

キラリ君の運命を一緒に嘆きキラリ君の全てを正面から受け止めました。

「刑務所から出たら、また私に顔を見せてくれますか?私はあなたを見放しません」

キラリ君は小さくうなづきました。

数年後、キラリ君から短いメールが届きました。

「見捨てずにいてくれてありがとうごさいます」

短いメールからはキラリ君の生活ぶりは分かりませんでした。

キラリ君の半生を書いていいことのお返事はありました。



sayuri
















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